合同会社における社員の相続

持分会社では、社員の死亡または合併による消滅は法定退社事由とされています(会社法第607条1項3号、4号)。

 そのため、規定通りに考えますと死亡または合併により消滅した社員の相続人や一般承継人は当該社員の持分を承継できないということになります。

 そして、相続人や一般承継人は持分の払戻しを受けることになります。ですが、もし社員1名の合同会社で考えますと、社員が亡くなった際に法定解散事由となるため要注意です。

 会社法608条1項では、社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合においては、当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めることができます。社員1名の合同会社であれば、この定款の定めを置いておいた方がいいと思われます。

 これに対して、清算持分会社の場合は、相続人その他の一般承継人が承継する旨の定款の定めがなくても、当該社員の持分を承継します(会社法675条)。

 次に、相続等による持分承継の定めがある場合、相続人等が持分を承継した時に当該一般承継人に係る定款の変更をしたものとみなされます(会社法第608条3項)。

 もし、相続が開始した場合、相続財産は相続人全員の共有となるため、持分を相続した場合は相続人が2人以上いるとなると1個の持分を準共有する状態となります。

 各相続人は、承継した持分について権利を行使する者を1人として定めなければ、その持分について権利を行使することができません。ただし、合同会社が各相続人に権利を行使することを同意したならば各相続人は権利を行使することができます(会社法608条第5項)。

 なお、定款によって死亡した社員の相続人が持分を承継する際に、他の社員の同意を要すると定めることができます。

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