会社の交通事故における被害者に対する賠償責任

 交通事故の被害者に対する責任としては民法による不法行為責任と自動車損害賠償保障法3条による運行供用者責任があります。

 自動車損害賠償保障法3条では、自己のために自動車の運行の用に供するものにも賠償責任があるとし、会社の車を仕事で運転の用に供している場合は運行供用者となります。

 これに対し、民法の不法行為責任というのは、被害者が加害者の故意、過失を立証しなければなりませんが、民法715条の使用者責任も同じく被害者が立証する必要があります。

 自動車損害賠償保障法3条は、一種の無過失責任ともいえ、被害者としては運行供用者に対して事故が起こり、損害が発生したことを立証すれば足りるとされます。

 そのため、自動車を使う会社としては責任が重いといえます。ただし、自動車損害賠償保障法3条は、人身事故に対してのみ規定し、物的損害については民法が適用とされます。

 保険で対応するには、強制加入の自賠責保険と任意加入の民間保険があります。

 自賠責保険は、先ほどのとおり対人賠償事故のみ補償し、保険金の限度額は死亡が最高3000万円、傷害が最高120万円です。なお、後遺障害は75万~4000万円とされています。

 任意加入の自動車保険としては対人賠償保険と対物賠償保険があります。対人賠償保険、対物賠償保険ともに被害者救済のための保険であり、免許失効中や飲酒運転などによって相手に被害を与えたとしても保険金が支払われます。

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